アトピー性皮膚炎におけるTGF-β1/SMAD3シグナル伝達異常の検討:分子および免疫組織化学的解析。
アブストラクト
アトピー性皮膚炎(AD)は、皮膚を侵す持続的で再発性の炎症性疾患である。ADにおける炎症と組織リモデリングの調節に、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)が関与している可能性を示す証拠が増えてきている。本研究の第一の目的は、TGF-β1/small mothers against decapentaplegic homolog 3(SMAD3)シグナル伝達の異常調節を、分子およびタンパク質発現プロファイルの包括的解析を通して検討することであった。この研究では、AD患者25人と対照群12人の合計37人が参加した。TGF-β1とSMAD3のmRNAとタンパク質レベルの評価は、定量的リアルタイムPCRと免疫組織化学(IHC)を用いて行われ、血清IgEとビタミンDレベルはそれぞれELISAと化学発光法で推定された。定量的解析の結果、AD病変皮膚ではTGF-β1 mRNAの発現が2.5倍上昇した(P < 0.0001)。IHCでも、中程度から強い染色強度を特徴とする、同等の増強パターンが示された。さらに、TGF-β1 mRNAは血清中のビタミンD欠乏と関連を示し(P < 0.02)、そのタンパク質発現は疾患の重症度と関連していた(P < 0.01)。この所見は、SMAD3のタンパク質発現とリン酸化を評価することによってさらに確認され、両者とも減少を示した。これらの所見は、ADにおいてTGF-β1/SMAD3シグナル伝達経路に調節異常があることを示唆している。さらに、観察されたTGF-β1のmRNAおよびタンパク質発現の増大は、疾患の重症度との相関とともに、臨床的に非常に重要であり、AD発症におけるTGF-β1の役割の可能性を強調している。