COVID-19パンデミック初期における、ノースカロライナ州民の精神・行動保健のための小児救急・入院医療利用の傾向。
アブストラクト
背景:COVID-19パンデミックでは、学校閉鎖や医療機関への受診回避が広まり、小児精神医療へのアクセスに支障をきたした。
方法:2019年1月~2020年12月にノースカロライナ州で民間保険に加入していた6~20歳の小児の救急および入院の行政請求を対象にレトロスペクティブ研究を実施した。救急外来(ED)受診率(10万人日あたり)と入院リスク(10万人日あたり)を、3つの期間(パンデミック前、ロックダウン、再開)にわたって、各カテゴリー(精神/行動衛生;自殺念慮、自殺企図、意図的自傷[SI/SA/ISH];社会的問題)の診断コードと比較した。3つの期間にわたるED受診総数と入院総数のうち、精神的/行動的健康およびSI/SA/ISHに起因するものの割合と95%信頼区間(CI)を算出した。
結果:ED受診の全カテゴリーの割合は、パンデミック前からロックダウン期間にかけて減少した;パンデミック前から再開期間にかけて、精神/行動衛生の受診率は減少したが、SI/SA/ISHの受診率は変わらなかった。ED受診のうち精神/行動衛生に起因する割合は、パンデミック前の3.5%(95%CI 3.2%~3.7%)から再開期には4.0%(95%CI 3.7%~4.3%)に増加し、SI/SA/ISHの診断の割合は、パンデミック前の1.6%(95%CI 1.4%~1.8%)から再開期には2.4%(95%CI 2.1%~2.7%)に増加した。社会的問題による救急医療の利用、精神/行動衛生およびSI/SA/ISHの診断による入院は、調査期間を通じて変化がなかった。
結論:パンデミック初期には、小児精神医療と急性自殺危機が救急医療に占める割合が増加した。パンデミックの回復期には、最も影響を受けた集団を理解し、予防的メンタルヘルスケアへのアクセスを増やすことが重要である。