小児救急部における臨床判断支援ツールとしての消化管病原体の迅速症候学的診断検査の役割。
アブストラクト
目的:本研究の目的は、小児救急部(ED)における臨床判断支援ツールとしての消化管病原体の迅速症候学的診断検査の役割を、導入前後の臨床判断および患者の転帰パラメータを比較することによって検討することである。
方法:ソウル聖母病院の医療法人データウェアハウスを利用し、2018年から2022年の34カ月間に中等度から重度の急性下痢で救急外来を受診した、基礎疾患のない18歳未満の小児を対象とし、人口統計学的、臨床的、検査パラメータを検索するビッグデータ分析研究である。迅速症候学的マルチプレックス消化管パネル(GIパネル)の導入前後のアウトカム指標を比較した。
結果:合計4,184例の患者データが解析に含まれた。ED退院時(9.9% vs 15.8%、P < 0.001)および入院時(52.2% vs 66.0%、P < 0.001)に急性感染性下痢を呈した患者に対して広域スペクトル抗生物質が処方される割合は、実施前と比較して実施後では有意に低かった。EDの滞在時間は有意に長かったが(6.5 vs 5.5 h、P < 0.0001)、症状の持続または悪化によるED再訪率は有意に低かった(切片のΔ、β = -0.027; SE = 0.013; P = 0.041)、ED退院後の追跡調査における入院率は、実施前と比較して実施後の方が有意に低いことが示された(それぞれ0.8% vs. 2.1%、P = 0.001)。疾患の進行に有意差は認められなかった(P = 1.000)。
結論:救急外来でGIパネルを使用することにより、広域スペクトル抗生物質の処方が減少し、臨床的判断を助け患者の転帰を改善することにより、再診や経過観察時の入院が減少することが示された。