中所得国および高所得国の恵まれない、少数民族または十分なサービスを受けていない集団における、小児期のMMRおよびHPVワクチン接種に対する医療制度の障壁と実現要因の理解:系統的レビュー。
アブストラクト
背景:子どもの予防接種は、最も効果的な公衆衛生介入のひとつである。しかし、子どもの予防接種にはさまざまな集団間で大きな格差が残っており、欧州のほとんどの少数民族やエスニックコミュニティでの接種率は、一般集団に比べて大幅に低い。中・高所得国の恵まれないマイノリティ集団における麻疹・おたふくかぜ・風疹(MMR)およびヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の小児ワクチン接種に対する医療制度の障壁と有効性を理解するために、システマティックレビューが実施された。
方法:Medline、Cochrane、CINAHL、ProQuest、EMBASEにおいて、2010年から2021年までに発表された論文を検索した。タイトルと抄録のスクリーニングの後、全文の関連性を評価した。研究の質はCritical Appraisal Skills Programのチェックリストを用いて評価した。データ抽出と分析を行った。ワクチン接種に対する医療システムの障壁と実現要因を、世界保健機関(WHO)の医療システム構築ブロックにマッピングした。
結果:5つのデータベースから計1658件、参考文献リストから24件の検索結果が得られた。重複を除外した結果、1556件のタイトルがスクリーニングされ、496件が適格であった。86の全文が適格性を評価され、28の論文がすべての包含基準を満たした。不利な立場にある人々におけるMMRおよびHPVワクチン接種に影響を及ぼす要因としては、サービス提供(限られた時間、地理的距離、文化的に適切な翻訳資料の欠如、医療制度を利用することの困難さ)、医療従事者(言語およびコミュニケーションスキルの低さ)、経済的コスト、差別感情などが挙げられた。
結論:政策立案者は、不利な立場にあるマイノリティ集団が直面するワクチン接種に対する医療制度の障壁を考慮するとともに、それぞれの集団に特有の文化的背景を認識しなければならない。政策効果を最大化するためには、予防接種を奨励するアプローチは、それぞれの集団のニーズに合わせるべきである。画一的なアプローチは有効ではない。