喘息児における吸入コルチコステロイドの使用と肺炎による入院リスク:全国規模のコホート研究。
アブストラクト
背景:成人における吸入コルチコステロイド(ICS)の使用と肺炎リスクとの関連性については議論があり、小児に特化したエビデンスは乏しい。
目的:喘息を有する小児(2~17歳)におけるICSの使用と肺炎による入院リスクとの潜在的関連を評価する。
方法:本研究は、スウェーデンにおける日常診療の全国データに基づくコホート研究である(2007年1月~2021年11月)。喘息が確認された小児425 965例から、調剤された薬剤の記録を用いてICSを新規に使用したエピソードと使用しなかったエピソードを同定した。傾向スコアのオーバーラップ重み付けを用いて潜在的交絡因子を調整し、肺炎を主診断とする入院のリスクを推定した。複数のサブグループ解析と感度解析も行った。
結果:249 351件のICS(平均追跡期間0.9年)エピソードと214 840件の非使用(平均追跡期間0.7年)エピソードが同定された。追跡期間中、肺炎による入院イベントはICSエピソードで369件、非使用エピソードで181件観察された。肺炎による入院の加重罹患率は、ICS使用エピソードでは1万患者年あたり14.5、非使用エピソードでは14.6であった。ICS使用による肺炎による入院の加重HRは1.06(95%CI 0.88~1.28)、絶対率の差は-0.06(95%CI -2.83~2.72)イベント/10,000患者年であった。
結論:この全国規模のコホート研究において、ICSの使用と小児喘息患者の肺炎による入院リスクとの間に、ICSを使用しない場合との関連を示す証拠は認められなかった。