体外受精後の妊娠性肝内胆汁うっ滞の母体および新生児の転帰。
アブストラクト
背景:妊娠性肝内胆汁うっ滞症(ICP)は妊娠の特発性疾患である。ICPが体外受精(IVF)による妊娠に具体的にどのような影響を及ぼすかについては、ほとんど知られていない。我々の目的は、体外受精がICPの周産期転帰に及ぼす影響を評価することである。
方法:2019年から2021年に登録された肝内胆汁うっ滞妊娠患者242例(体外受精による妊娠36例、自然妊娠206例)の後方視的研究を実施した。データは華中科技大学同済病院の医療アーカイブから解析した。
結果:トランスアミナーゼ(ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ、AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)および血清総胆汁酸(TBA)の数値は、体外受精群の方が自然妊娠群よりも有意に低かった(p<0.05)。妊娠糖尿病(GDM)の発症率は、IVF群でSC群より高かった(30.6%対16%、p=0.037)。帝王切開(CS)率はIVF群で高い(97.2%対85.4%、p=0.023)。一方、膜早期破裂(PROM)の有病率はSC群で高く(10.7%)、IVF-ICP群では報告されなかった。その他の母体の合併症と新生児の転帰は両群間で同様であった。
結論:体外受精を受けたICP患者はGDMに罹患する可能性が高い。したがって、妊娠中の血糖のモニタリングと管理を強化すべきである。幸い、体外受精がICPの進行や予後を悪化させることはないようなので、標準的な管理方法を守ることが推奨される。