てんかんにおける移行期-大学病院内外の患者を対象としたパイロット研究。
アブストラクト
理由:てんかんは複雑な疾患であり、発作はこの疾患の一部でしかない。小児医療から成人医療への移行は、多くの青少年てんかん患者やその家族にとって困難である。知的障害や発達障害、自閉症スペクトラム、運動障害を伴うてんかんの場合、その困難さは増す。両者の間には知識やシステムのギャップが存在する可能性があり、これが課題をさらに大きくしている。本研究の主な目的は、小児医療制度から成人医療制度への移行を準備している、あるいはすでに移行しているてんかん患者とその家族の認識を理解することである。
方法:北米の患者支援団体を通じて、またディズニーランドで開催された「2019 Epilepsy Awareness Day」を通じて、てんかん患者・介護者を対象に調査を実施した。患者は調査時点で12歳以上であることが条件とされ、12~17歳と18歳以上の2つのグループに分けられた。回答できない患者(知的障害など)の代わりに介護者が回答した。調査の主な内容は、人口統計、てんかんの詳細、小児期および成人期に受けたケアの質と利用、移行と準備に関する質問などであった。
結果:カナダと米国のてんかん患者58名から回答を得た。A群(12~17歳の患者)では、17歳の患者には移行に関する話はなかった。てんかんと知的および/または発達障害(IDD)を持つ患者(介護者)は、正常知能を持つ患者に比べて、移行/移行の段階で重要なことを話し合う時間が少なかった。最後に、成人期に報告された専門医療へのアクセスについては、小児期に比べて統計的に有意な差が認められた。B群(18歳以上の患者)では、a) 2種類以上の抗てんかん薬(ASM)を服用しているにもかかわらず、てんかん関連治療のためにかかりつけ医を受診している患者が35%、b) 小児神経専門医のフォローアップを受けている患者が27%、c) 救急外来を受診しただけで治療を受けた患者が1人、d) 転院時に、成人医療従事者の名前や転院先の医療機関名など、明確な指示を受けたと感じた患者はわずか4%であった。
結論:本研究は、カナダと米国の非選択てんかん患者群において、成人医療システム(AHCS)への移行が適切に行われていないことを明らかにした。地域や医療機関で経過観察されていた患者の圧倒的多数は、単に成人医療従事者に「移行」させられたか、あるいは小児科医のもとで経過観察されたままであった。最後に、ほとんどの患者はAHCSに移った後、重要な社会的・医療的支援を受けることができない。