思春期マウスのH1N1パンデムリクスワクチン接種後のヒポクレチン/オレキシンのダウンレギュレーション。
アブストラクト
ナルコレプシー1型(NT1)は、視床下部外側におけるヒポクレチン/オレキシン(HCRT)産生の消失を特徴とするが、2009年のH1N1パンデミック時に、特に小児と青年においてパンデミックス・ワクチン接種との関連が指摘されている。このワクチン接種がNT1発症リスクを増加させた理由はまだ不明である。本研究では、思春期のPandemrixワクチン接種がマウスのHcrt mRNA発現に及ぼす影響を調べた。マウスは、思春期前に一次ワクチン接種(50μL i.m.)を受け、思春期前後にブースターワクチン接種を受けた。Hcrt発現は、ワクチン接種後3時点で測定した。対照群には、生理食塩水群と無撹乱群のマウスが含まれた。Hcrt発現は、Pandemrixと生理食塩水の両方の注射後に減少したが、2回目の注射から21日後、生理食塩水群ではHcrt発現の減少はみられなくなった。一方、Pandemrix群では、乱れのない対照群と比較して約60%の有意な減少がみられた。この所見は、思春期におけるPandemrixワクチン接種が、マウスにおけるHcrt発現に成体初期まで影響を及ぼすことを示唆している。Hcrt mRNAレベルは、NT1症状を誘発することが知られている低レベルには達しなかった。その代わりに、この知見は、NT1を誘発するためにはHCRTシステムに対するいくつかの侮辱が必要であり、パンデムリックスはそのような侮辱の1つである可能性があるというNT1のマルチプルヒット仮説を支持するものである。