母親の低用量BPA経口曝露は、雌の子孫のAVPV核における思春期前のKiss1発現を促進することにより、思春期の開始を早める。
アブストラクト
近年、思春期早発症の罹患率が上昇し、思春期発症年齢が低年齢化しているため、子どもたちは思春期早発症に関連した健康被害のリスクが高まっている可能性がある。ビスフェノールA(BPA)は内分泌かく乱化学物質として認識されており、思春期早発症を誘発することが報告されている。BPAの曝露様式、曝露時間、曝露量(特に低用量)の影響については議論があった。本研究では、母親が低用量のBPAに暴露された場合、視床下部、特に弧状核(ARC)および前腹側脳室周囲核(AVPV)にどのような影響を及ぼす可能性があるのかを、BPAを投与したラットの子ラットの思春期早発症において評価した。妊娠ラットにコーン油ビヒクル、0.05 mg-kg-dayのBPA、または5 mg-kg-dayのBPAを妊娠1日目(GD1)から出生後21日目(PND21)まで毎日経口投与した。体重(BW)、膣開口部(VO)、卵巣卵胞の黄体化、および関連するホルモン濃度を測定し、思春期開始の指標として、ウェスタン免疫ブロット分析による視床下部のKiss1およびGnRH1レベルも評価した。曝露中または曝露後、低用量BPAは出生後のBWを制限し(PND1およびPND5)、その後、PND30にAVPV核における思春期前のKiss1およびGnRH1の発現を促進することにより思春期発症を促進し、VOの進行、LHおよびFSH濃度の上昇(PND30)をもたらした。また、PND30とPND35にBWが増加した。母親の低用量BPA経口曝露は、新生児期および思春期前後のBW曲線を変化させ、その後、AVPV核における思春期前のKiss1発現を促進することにより、思春期発症を早めた。