ヨーロッパ人集団における小児期の肥満が心不全とその関連危険因子に及ぼす影響:メンデルランダム化研究。
アブストラクト
背景と目的:肥満が心血管系に大きな影響を及ぼすことは観察研究によって明らかにされている。そこで我々は、小児期の肥満が心不全(HF)とその危険因子に及ぼす因果関係を検討するために、メンデルランダム化(MR)解析を行った。
方法と結果:小児肥満、心不全、2型糖尿病(T2DM)、心房細動(AF)、冠動脈疾患(CAD)、心筋梗塞(MI)、慢性腎臓病(CKD)、心臓弁膜症、心筋炎、肥大型心筋症、甲状腺機能亢進症について調査したゲノムワイド関連研究(GWAS)から遺伝学的資料を入手した。MR解析には、逆分散加重(IVW)、加重中央値分析、MR-Egger、MR-pleiotropy residual sum and outlier(MR-PRESSO)が用いられた。また、感度分析には、leave-one-out感度検定、MR-PRESSOグローバル検定、コクランQ検定を用いた。遺伝学的評価により、小児期の肥満はHF(オッズ比[OR]=1.11、95%CI:1.05-1.17、p=1.26×10)、T2DM(OR=1.17、95%CI:1.12-1.23、p=8.80×10)のリスクを増加させることが示された。23、p=8.80×10)、心房細動(OR=1.08、95%CI:1.05-1.12、p=2.66×10)、心筋梗塞(OR=1.08、95%CI:1.04-1.13、p=3.35×10)、CAD(OR=1.08、95%CI:1.03-1.13、p=1.48×10)であった。小児期の肥満とCKD、心臓弁膜症、心筋炎、肥大型心筋症、甲状腺機能亢進症との関連は認められなかった。感度分析とBonferroniの補正は一貫した結果を示した。
結論:本研究は、小児期の肥満とHFおよびその危険因子との関係について新たな証拠を提供するものである。この結果は、小児期肥満の既往のある人は、HFの発症を予防するために臨床的により注意が必要であることを示している。