神経性セロイドリポフスチン症11型で、GRN遺伝子の2対立遺伝子変異を有する患者:症例報告と文献レビュー。
アブストラクト
目的:神経セロイドリポフスチン症11型(NCL11)は、進行性の認知機能低下、てんかん、視覚障害、網膜萎縮、小脳失調、小脳萎縮を呈する稀な疾患である。本稿では、神経運動発達遅滞、てんかん、閉塞性細気管支炎、甲状腺機能低下症と診断された患者におけるNCL11の症例を紹介する。
症例提示:4歳男児が、全身の発達遅滞と、生後17日目、4、5、7ヵ月目に肺炎で入院を繰り返した病歴を認め、当院に入院した。家族歴によると、同様の臨床所見(再発性肺炎、甲状腺機能低下症、低緊張症、嚥下機能障害、神経運動遅延)を有する兄がおり、生後22ヵ月で肺炎により死亡した。胸部CTは閉塞性細気管支炎と一致し、脳波ではてんかん放電が確認され、両側前頭中心-側頭部および全身のスパイク波活動が高頻度に認められたが、光発作性反応は認められなかった。頭部MRIでは、後頭部の脳室周囲白質にT2高強度領域が認められ、白質では体積減少、脳梁の細小化、脳梁の萎縮がみられた。全ゲノム配列決定による分子解析の結果、GRN遺伝子の複合ヘテロ接合体c.430G>A(p.Asp144Asn)とc.415T>C(p.Cys139Arg)の変異が明らかになった。
結論:今回の症例は、てんかんおよび神経変性疾患患者においてNCL11を考慮すべきことを示している。