新生児先天性副腎皮質過形成の臨床診断におけるロングリードシーケンスに基づくアプローチの有効性の評価。
アブストラクト
先天性副腎過形成症(CAH)は、コルチコステロイド合成障害を主徴とする常染色体劣性遺伝性疾患群である。臨床的表現型には、副腎皮質機能低下症、電解質異常、性腺発育異常、低身長などがあり、このうち重度の副腎皮質機能低下症と塩類消耗症は生命を脅かすことがある。遺伝子解析はCAHの臨床診断に役立つ。しかし、21-OHDの原因遺伝子であるCYP21A2は、相同性の高いCYP21A1P偽遺伝子とタンデムに配列しているため、多重ライゲーション依存性プローブ増幅法(MLPA)にサンガーシークエンシングや次世代シークエンシング(NGS)を加えた従来の方法では正確な遺伝子型を決定することが困難である。われわれは、新生児CAHの臨床診断における有効性を評価するため、臨床的特徴によって診断されたCAHの新生児48例と、レトロスペクティブ解析のための従来のMLPA+サンガーシーケンス法に、包括的CAH解析(comprehensive analysis of CAH:CACAH)と名付けられたロングリードシーケンスに基づくアプローチを適用した。MLPA+サンガーシーケンス法と比較して、CACAHはCAH関連遺伝子のエクソンおよびエクソン-イントロン境界領域に位置するSNV/インデル変異の検出において100%の一貫性を示した。親の遺伝子型を解析することなく、シス-トランスの関係を直接決定することができ、診断までの時間を短縮することができる。さらに、CACAHは異なるCYP21A1P/CYP21A2およびTNXA/TNXBキメラを区別することができ、追加のバリアント(CYP21A2バリアントc.-121C > T、c.*13G > A、c.*52C > T、c.*440C > T、c.*443 T > C、TNXBバリアントc.12463 + 2 T > C、c.12204 + 5G > A)を検出することができた。また、遺伝子転換によって導入された可能性のあるTNXB変異体c.11435_11524 + 30delを、TNXA/TNXB-CH-1キメラの一部としてではなく、単独で2人の新生児に同定した。これらの特徴はすべて、臨床医が被験者の表現型をよりよく説明し、より効果的に管理することを可能にした。CACAHは従来のMLPA法やサンガーシークエンシング法に比べて大きな利点があり、新生児CAHの遺伝子診断とスクリーニングに大きな可能性を示している。