思春期早発症児におけるQOLの評価。
アブストラクト
目的:本研究の目的は、治療が必要な中枢性思春期早発症(CPP)患者と無治療で経過観察している早発性思春期(PT)患者のQOLを調査し、治療群と無治療群、および健常児のQOLを比較することである。
デザイン、対象者および測定:本研究は症例対照研究としてデザインされた。CPP患児59名、PT患児53名、健常児81名とその両親を含む合計193名の小児を対象とした。QOLに影響を与える社会人口統計学的特徴を評価するために質問紙調査を行った。QOLの評価には'Pediatric Quality of Life Inventory (PedsQL)'を用いた。
結果:CPP群、PT群、対照群それぞれにおいて、PedsQL総尺度は78.10±17.13点、79.35±11.54点、79.52±14.65点、心理社会的健康サマリースコアは78.86±16.83点、79.40±12.54点、79.94±14.94点、身体的健康サマリースコアは75.81±20.69点、79.41±15.04点、78.25±17.52点であったが、統計学的な差は認められなかった(p>0.05)。保護者に実施した尺度では、3群間でスコアは同程度であった。社会人口統計学的データに関しては、CPP群、PT群、対照群の間に差は認められなかった(p > .05)。
結論:先行研究とは異なり、本研究では社会人口統計学的特性および治療開始の有無がQOLに及ぼす影響を検討した。CPP群の尺度得点はPT群および対照群よりも低かったが、統計学的に有意な差はみられず、CPP群が治療を受けてもQOLに悪影響がないことが示された。