サハラ以南のアフリカと南アジアにおけるロタウイルス性下痢症が小児の成長に及ぼす影響(Global Enteric Multicenter Study)。
アブストラクト
ロタウイルスは、発展途上国の小児の脱水性下痢の主な原因である。ロタウイルスによる下痢が栄養状態に及ぼす影響についてはよくわかっていない。われわれは、5歳未満の小児におけるロタウイルス陽性の中等度から重度の下痢と栄養状態との関連を明らかにすることを目的とした。南アジアおよびサハラ以南のアフリカの0~59ヵ月の小児を対象としたGlobal Enteric Multicenter Studyのデータを分析した。説明変数と転帰変数の関係は、重回帰を用いて評価した;説明変数は便サンプル中のロタウイルスの存在であり、転帰変数は追跡調査時(~60日)のzスコア[年齢に対する長さ/身長(LAZ/HAZ)、年齢に対する体重(WAZ)、長さ/身長に対する体重(WLZ/WHZ)]であった。ロタウイルス性下痢の有病率は、南アジアで17.3%(905/5,219例)、サハラ以南のアフリカで19.95%(842/4,220例)であった。ロタウイルスは、サハラ以南のアフリカではLAZ/HAZ(β係数:0.19、95%CI:0.12、0.26、P<0.001)およびWAZ(β係数:0.15、95%CI:0.79、0.22、P<0.001)の上昇と、南アジアではWLZ/WHZ(β係数:-0.08、95%CI:-0.15、-0.009、P=0.027)の低下と関連していた。本研究により、ロタウイルス性下痢症は、サハラ以南のアフリカでは栄養状態と正の相関があり、南アジアでは栄養状態と負の相関があることが示された。ロタウイルス性下痢の負担を軽減するためには、ロタウイルスに対するワクチン接種を含む、現在進行中の予防・管理戦略の迅速な実施方針が必要であり、これはさらに、潜在的な栄養状態の影響を軽減するのに役立つ可能性がある。