動的数理モデルに基づくベトナム南西部におけるロタウイルスワクチン接種の有効性の予測。
アブストラクト
ロタウイルス(RV)に対する幼児へのワクチン接種は、ロタウイルス胃腸炎(RVGE)に対する有望な予防戦略である。われわれは、動的モデル解析により、ベトナムでの普遍的ワクチン接種によって誘発されるRVGEの相対リスク減少を評価した。RVの伝播を解析し、ワクチンの有効性(VE)を評価するために、年齢層別の動的モデル(Vaccinated-Susceptible-Infectious-Recovered-Susceptible)を作成した。3種類のワクチン効果を仮定した:55%、70%、85%である。モデルの較正には、2013年1月から2018年12月の間にRVGEでホーチミン第1病院に入院した5歳未満の患者のデータベースを使用した。ワクチン接種率を95%と仮定すると、普遍的RVワクチン接種から5年後のRVGE入院数は、有効率85%では92,502例から45,626例に、有効率70%では54,576例に、有効率55%では63,209例に減少した。さらに、10年後のRVGEによる入院は、85%の有効性で177,950例から89,517例に、55%の有効性で121,832例に減少した。10年後のRVGEの相対リスク減少率は、85%有効群で49.7%、70%有効群で40.6%、55%有効群で31.5%であった。有効率85%、有効率95%を適用した場合のVEは、生後4ヵ月から1歳の年齢群で他の年齢群の1.10倍(95%信頼区間、1.01-1.22)であった(P = 0.038)。結論として、高所得国と比較すると有効性は相対的に低いものの、RVワクチン接種はベトナム南西部では依然として有効な介入である。特に、より高いカバー率で普遍的RVワクチン接種を実施すれば、5歳未満のベトナム人小児におけるRVGE入院の減少につながるであろう。