中国、上海の親における科学的推論とワクチン接種のためらいの複雑な相互作用。
アブストラクト
ワクチン接種をためらう心理社会的背景は複雑である。ワクチンで予防可能な病気に対して、人々が自分自身や子供へのワクチン接種をためらう理由を正確に突き止めるには、研究が必要である。考えられる理由のひとつは、ワクチン科学に対する誤解から生じる懸念である。我々は、中国・上海の予防接種クリニックにおいて、ワクチン接種対象児の親(N=399)を対象とした横断研究により、科学的推論がワクチン接種のためらいとヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種の意向に及ぼす影響を調べた。一般加法モデルを用いて、科学的推論とワクチン接種のためらいおよびHPVワクチン受容の関係を評価した。その結果、科学的推論と教育レベルとの間に有意な関連が認められ、高卒未満の者は大卒の者よりも科学的推論が有意に低かった(ß = -1.31、p値 = 0.002)。しかし、科学的推論とワクチン接種のためらいとの間に関連性を示す証拠はほとんどなかった。したがって、科学的推論は調査対象者のワクチン態度形成に主要な影響を及ぼさないようである。われわれは、ワクチン接種のためらいに関する研究において、親が子どもにワクチンを接種するか否かを決定する際に行う推論のスタイルを明らかにする努力を続けることを提案する。この研究は、個々のニーズに合わせたワクチン接種キャンペーンの開発と実施に役立つであろう。