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レバノンの4病院の救急外来を受診した患者における急性下痢の原因病原体の疫学。
アブストラクト
急性下痢症は世界的に流行している疾患であり、低・中所得国では死亡率の原因となっている。これまでの研究では、原因となる腸管病原体は患者の38%から58%で見つかっており、診断にはかなりのギャップがある。本研究では、レバノンのいくつかの病院の救急外来を受診した患者を対象に、急性下痢の原因病原体を明らかにすることを目的とした。2022年6月から2023年6月にかけて、急性下痢症で救急部を受診した患者から合計100検体の便を採取した。病原体は多重ポリメラーゼ連鎖反応により検出した。患者の平均年齢は53歳であった。全例が下痢を呈し、うち15例は発熱を伴っていた。合計46人が入院し(70%)、そのうち80%が抗生物質の点滴を受けた。最も多く検出されたのはカンピロバクターで36%、次いでロタウイルス19%、ノロウイルス15%であった。その他は低い割合であった。細菌が49%、ウイルスが39%、寄生虫感染が6%であった。レバノンでは急性下痢症の疫学はあまり研究されていない。本研究は、急性下痢症の病原体に関するレバノン初のデータである。細菌感染とウイルス感染における抗生物質の過剰使用を避けることができる一方、予防キャンペーンを実施することで、地域レベルで食品と水の安全性に関する意識を高めることができる。