クリッペル-フェイル症候群における一過性の両眼視機能低下と痛覚鈍麻:症例報告。
アブストラクト
背景:クリッペル-フェイル症候群は、2つ以上の頚椎の異常癒合を特徴とする稀な先天性骨疾患である。クリッペル-ファイル症候群の患者は、骨格の不整、視覚および聴覚障害、顎顔面異常、心臓、腎臓、泌尿生殖器系、神経系などの様々な内臓の異常など、多様な臨床症状を示す。
症例報告:この症例報告は、急性両側視覚障害を呈した12歳のパシュトゥーン人女性患者について述べたものである。患者はクリッペル-フェイル症候群であり、シュプレンゲル奇形とともにクリッペル-フェイル症候群の典型的な臨床的三徴候を呈していた。また、全身性の痛覚低下もみられ、以前、火傷に関連した傷害が広範囲に及んでいた。診察の結果、両側の視神経乳頭腫脹が認められたが、頭蓋内圧は正常であった。広範な検査の結果、低カルシウム血症と低ビタミンD値を除いては正常であったが、副甲状腺機能は正常範囲内であった。視力は2ヵ月間のカルシウムとビタミンDの補充により改善したことから、視力低下と視神経腫脹は低カルシウム血症に起因することが示唆された。副甲状腺機能が正常であったことから、低カルシウム血症は重度の熱傷瘢痕後に起こりうるビタミンDレベルの低下から生じた可能性がある。さらに、この患者は、詳細な病歴と、疼痛刺激を知覚する能力の重度かつ広範な喪失、および温度感覚の障害という所見に基づいて、先天性疼痛不感症の仮診断を受けた。しかし、遺伝子検査には限界があり、先天性疼痛不感症の確定診断は得られなかった。
結論:本症例は、クリッペル-フェイル症候群の患者において、一過性の両眼視機能低下と痛覚鈍麻を呈した稀な症例であり、症状の解釈において特異な関連を考慮することの重要性を強調するものである。