小児アトピー患者におけるCOVID-19の重症度評価と小児多系統炎症症候群(MIS-C)の発症。
アブストラクト
背景コロナウイルス疾患2019(COVID-19)の流行とアトピー患者への影響をめぐる研究は、主に成人を対象としてきた。デルタ変異型が小児でCOVID-19の罹患率の増加を示した後、小児集団も評価する必要がある。目的目的は、ミシシッピ大学医療センターの患者コホートにおいて、COVID-19患者、特定のアトピー性疾患の有無にかかわらず、転帰を評価し報告することであった。方法ミシシッピ大学医療センターのResearch Data Warehouseから医療請求コードで照会できる非識別化データベースを用いて、患者のレトロスペクティブレビューを行った。2020年1月1日から2021年12月31日までにCOVID-19陽性で0~21歳の患者を検索した。そして、この集団をアトピー集団と非アトピー集団の2つのコホートに分けた。2つの集団における入院、集中治療室(ICU)入室、死亡、入院期間、吸入コルチコステロイド処方歴、小児多系統炎症症候群(MIS-C)転帰の発生率を収集した。結果0~21歳でCOVID-19が確認された患者は5261例であった。除外基準を適用した結果、アトピーコホートは1420人、非アトピーコホートは2525人であった。アトピー集団では入院が多く、入院期間も長かった。死亡率はアトピー集団と非アトピー集団で同等であった。アトピー集団ではICU入室が多かった。MIS-Cと診断された患者は合計101人で、MIS-Cの発生率はアトピー集団と非アトピー集団で同程度であった。吸入コルチコステロイドを使用しているアトピー患者は、非アトピー患者よりも多かった。結論本研究は、小児患者における喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎が重症COVID-19と関連しているかどうかをさらに明らかにすることを目的とした。われわれの研究では、アトピー集団では入院、入院期間、集中治療が増加したが、死亡率とMIS-Cの発症では同様の転帰を示した。COVID-19感染後の患者のアトピー性疾患に対する長期的影響を評価するためには、今後の縦断的前向き研究が必要である。