妊娠期のPM(2.5)曝露に関連する不利な出生転帰のリスクに対する感受性の窓:自然実験からの証拠。
アブストラクト
多くの研究が、母親のPM曝露と不利な出生転帰を関連付けているが、所見は一貫しておらず、一般化することは困難である。われわれは、妊娠中のPM曝露と出生転帰との因果関係や感受性の幅を調べることを目的とした。高解像度の衛星データを活用し、個人レベルでの妊娠期のPM曝露を定量化するとともに、COVID-19のロックダウン前群とロックダウン群における出生転帰の日次相対リスク(RR)を複合モデルで求めた。2群間のRRをさらに縦断的事前事後非実験デザインを使って比較し、有害な出生転帰の感度窓を同定した。COVID-19ロックダウン前群の妊婦73,781人、ロックダウン群の妊婦6267人が解析の対象となった。ロックダウン群の1日平均PM濃度は、ロックダウン前群と比較して21.7%減少した。妊娠第1期において、PMが10μg/m増加するごとに、心臓血管系、消化管、神経系、泌尿器系、呼吸器系などの主要臓器の先天異常のリスクが有意に増加した。さらに、妊娠第一期のPM曝露は、早産や低出生体重児のリスクの上昇と関連していた。一方、妊娠後期のPM曝露は巨大児出産と正の相関があった。PMへの妊娠期間中の曝露は、特定の感受性の窓を持つ様々な出生時有害転帰のリスク上昇と関連している。我々は、自然実験デザインによって、妊娠中のPM曝露が、特定の感受性の窓を持つ様々な有害な出生転帰のリスクを増加させることを証明した。我々の知見は、特に妊娠の重要な時期に、PMの削減を目標とする政策とイニシアチブの緊急の必要性を強調するものである。