特発性低身長児の腸内細菌叢は、正常身長の兄弟と有意に異なる:症例対照研究。
アブストラクト
目的:特発性低身長症(ISS)の病態における腸内細菌叢(GM)の役割を、ISS児のGMと健常身長の兄弟児のGMを比較することにより検討する。
方法:この症例対照研究は、シュナイダー小児医療センターの内分泌・糖尿病研究所で2018/4-11/2020の間に実施され、3-10歳の思春期前の健康な兄弟姉妹30組が参加した。両兄妹の糞便分析によるアウトカム指標には、16S rRNA配列決定によるGM組成分析、糞便メタボロミクス、糞便移植後の無菌(GF)マウスの成長モニタリングなどが含まれた。
結果:ISS児の糞便を解析したところ、ピリミジン、プリン、フラビン、補酵素B、チアミンの生合成酵素をコードする遺伝子の予測レベルが高く、いくつかのアミノ酸のレベルが低いこと、およびユーラシア動物門の有病率が健常な兄弟に比べて有意に高いことが同定された(p<0.001)。古細菌の腸内コミュニティで優勢な生物種であるユリアレオタ門の有病率が高いISS児は、低いISS児に比べて有意に低身長であった(p=0.022)。ISS児から糞便を移植されたマウスは発育不良を経験しなかったが、これはおそらく糞便収集中に酸素にさらされることによって引き起こされる細菌が根絶されたためであろう。
考察:我々の知見は、GMの異なる特性が直線成長のばらつきを説明する可能性を示唆している。ISSグループ内で示された様々なレベルは、ISSの多因子性の性質と、成長のばらつきを部分的に説明するGMの潜在的能力を反映している。特定の微生物叢を標的とすることで、ISS患児の成長を改善するための個別化治療が可能になるかもしれない。