思春期早発症女子のマルチオーム解析:パスウェイの変化と代謝物の検証。
アブストラクト
目的:思春期早発症(PP)は、子どもの身体的・精神的ウェルビーイングに影響を及ぼす、広く蔓延している内分泌疾患である。思春期早発症の引き金となる因子を特定することは、中心的な課題となっている。本研究では、思春期早発症におけるメタボロームとトランスクリプトームの変化を調べる。
材料と方法:まず、PPと診断された37人の学童期の女児と、年齢をマッチさせた25人の思春期前の対照女児をリクルートし、糞便サンプルを採取して非標的メタボローム解析を行い、発現量の異なる代謝産物(DEM)をスクリーニングした。その後、新生児雌ラットにダナゾールを投与してPPの動物モデルを構築し、糞便のノンターゲットメタボローム解析と血清の次世代トランスクリプトーム解析の両方を行い、PPにおけるDEMと発現差のある遺伝子(DEG)をスクリーニングした。さらに、臨床および動物モデルに共存するDEMをPPラットに投与し、PPにおける標的代謝物の役割を探索した。
結果:PPの臨床サンプルでは24のDEMが、PPの動物サンプルでは180のDEMと425のDEGが同定された。Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes (KEGG)パスウェイ解析の結果、これらのDEMとDEGは、脂肪酸合成、グリセロ脂質代謝、ピリミジン代謝、ステロイドホルモン生合成、プロゲステロンを介した卵子成熟、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)シグナル伝達経路などの疾患関連経路に濃縮されており、緊密なDEM-DEG経路制御ネットワークを形成していた。DEMのさらなる検証により、チミンの補充がモデルラットの膣の開口とPPの発生を遅延させることが示された。
結論:本研究は、臨床的および動物的解析に基づき、メタボロームおよびトランスクリプトームの変化が、濃縮されたパスウェイとともにPPに関与していることを明らかにした。この知見は、PP治療のための新たな戦略や研究の道を提供するかもしれない。