包括的メタボローム解析により、グルタル酸尿症1型新生児が誤って疑われた場合の新規バイオマーカーとパスウェイが明らかになった。
アブストラクト
背景:グルタル酸尿症-1型(GA-1)は、グルタリルコエンザイムAデヒドロゲナーゼ欠損によるまれな代謝異常症であり、グルタリル-CoAおよびその誘導体濃度の上昇を引き起こす。GA-1は大頭症、発達遅延、運動障害などの症状を示す。遺伝子検査や新生児スクリーニングによる適時診断が重要である。しかし、一部の症例では、グルタリルカルニチン(C5DC)の一過性の上昇が正確な診断に難渋しており、質量分析ベースのアンターゲットメタボロミクスのような代替診断法により、GA-1が誤って疑われる新生児と健常新生児を区別するための新たなバイオマーカーを同定する必要性が強調されている。
方法:GA-1が疑われた新生児(n=47)と、それにマッチしたコントロールのDBSサンプルを、NBSプログラムを通じて収集した。液体クロマトグラフィー-高分解能質量分析計(LC-HRMS)を用いた非標的メタボロミクスを実施し、有意に変化した代謝物についてバイオマーカーとパスウェイの調査を可能にした。
結果:一過性GA-1では582代謝物および546代謝物が発現上昇および発現低下した。155の内因性代謝物が対照群と比較して有意な変化を示した。さらに、N-パルミトイルシステイン、ヘプタカルボキシポルフィリン、3-ヒドロキシリノレオイルカルニチン、モノアシルグリセリド(MG)(0:0/20:1/0:0)といった新規の代謝バイオマーカーが同定され、スフィンゴ脂質やチアミン代謝のような代謝経路が、DBSサンプルの一過性のC5DCレベル上昇と関連していることが明らかになった。
結論:新生児における一過性のC5DC上昇に関連する明確な代謝パターンが報告され、偽陽性症例の予測を強化することができた。