中国上海市の就学前児童における鼻炎および鼻結膜炎の疫学的特徴と危険因子。
アブストラクト
背景:これまでの研究で、発展途上国における小児アレルギー性鼻炎の有病率の増加が報告されている。中国の就学前児童におけるアレルギー性鼻炎の最近の疫学はまだ不十分である。そこで本研究では、中国上海市の3~6歳児における鼻炎症状の有病率を調査し、潜在的な危険因子との関連を明らかにした。
方法:鼻炎症状および潜在的危険因子に関する情報を収集するために、有効な国際小児喘息・アレルギー研究(ISAAC)質問票を採用した。単変量および多変量ロジスティック回帰分析を用いて、危険因子とアレルギー性鼻炎および鼻結膜炎との関連を評価した。
結果:計6183件の質問票を対象とした。鼻炎の有病率は32.6%、現在の鼻炎の有病率は29.2%、医師が診断した鼻炎の有病率は14.3%であり、現在の鼻結膜炎の有病率は11.3%であった。鼻炎の既往、現在の鼻炎、現在の鼻結膜炎、医師の診断による鼻炎の有病率は、女児より男児の方が高かった。4つの季節の中で秋の有病率が最も高かった。多変量ロジスティック回帰分析では、アレルギー疾患の既往と過去1年間のパラセタモール使用は、現在の鼻炎と鼻結膜炎の両方のリスク上昇と正の関連を示し、抗生物質の使用は現在の鼻炎でのみ独立した有意な危険因子であった。母親および父親の鼻炎、喘息、湿疹を含む遺伝的因子は、現在の鼻炎の有病率と有意に関連していた。これらの因子と現在の鼻結膜炎との間にも、父方の湿疹を除いて同様の関連がみられた。環境因子のうち、自宅での喫煙、自宅の通りを往来する大型トラック、床暖房システムは、調整モデルにおいて、現在の鼻炎と鼻結膜炎の両方の独立した危険因子であった。
結論:中国上海市の3~6歳児における現在の鼻炎有病率は29.2%であった。鼻炎症状の有病率には性差と季節変動が観察された。同定された危険因子は、政策立案者や医療専門家がアレルギー性鼻炎や鼻結膜炎を予防するための介入策を講じるための基礎となるであろう。