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アレルギー疾患児における幼児期の神経発達のマイルストーン:日本環境と子ども研究(JECS)。
アブストラクト
本研究では、小児期のアレルギー疾患と生後3年間の神経発達のマイルストーン達成との潜在的関連について検討した。87,986人の小児を対象とした日本の大規模前向き出生コホート研究のデータを利用し、アトピー性皮膚炎(AD)、喘息、食物アレルギー(FA)を含む、医師診断および養育者報告によるアレルギー疾患について検討した。神経発達のマイルストーンは、1歳、1.5歳、2歳、2.5歳、3歳のAges and Stages Questionnairesを用いて評価した。安定化逆確率加重一般化推定方程式モデルを用いてオッズ比(OR)を推定した。解析の結果、ADおよび喘息と、生後3年間のコミュニケーション能力、粗大運動能力、微細運動能力、問題解決能力、個人的社会的能力の遅れとの有意な関連は認められなかった。しかし、FAを有する小児は、FAを有しない小児と比較して、粗大運動の遅れを経験する可能性が高いことが示された(加重調整OR:1.14)。にもかかわらず、FAと他の発達領域との有意な関連は観察されなかった。幼児期のアレルギーは神経発達の遅れに影響を与えないかもしれない。しかし、FAと発達の遅れ、特に粗大運動能力の遅れとの間には潜在的な関連があり、日常的な発達モニタリングと追加的な調査が必要である。