妊娠中の抗生物質曝露は小児アトピー性疾患のリスクを増加させる:全国コホート研究。
アブストラクト
目的:アトピー性疾患の有病率はここ数十年で増加している。妊娠中の抗生物質使用と小児アトピー性疾患との関連性が提唱されている。本研究の目的は、妊娠中の抗生物質曝露と小児アトピー性疾患との関連を、全国規模の集団ベースの観点から検討することである。
方法:本研究は全国規模の集団ベースのコホート研究である。台湾の国民健康保険研究データベースが主なデータ源である。母子のペアリングは、NHIRDと台湾母子健康データベースをリンクさせることで実現した。本研究では、2004年から2010年までの初回妊娠を登録した。多胎分娩、早産、5歳未満の死亡は除外した。全参加者を少なくとも5年間追跡した。妊娠期間中に母親に処方された出生前抗生物質について検討した。喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎を主診断とする外来受診が2回以上、または入院が1回以上の小児をアトピー性疾患とみなした。
結果:本研究には合計900,584人の小児が登録された。妊娠中の抗生物質曝露と小児アトピー性疾患との調整ハザード比は、アトピー性皮膚炎で1.12、喘息で1.06、アレルギー性鼻炎で1.08であり、いずれも統計学的に有意であった。時期による影響は有意ではなかった。出生前に抗生物質にさらされた回数が多いほど、小児アトピー性疾患のハザード比が高くなる傾向がみられた。
結論:出生前の抗生物質曝露は、用量依存的に小児アトピー性疾患のリスクを増加させる可能性がある。