胆道閉鎖症児の神経発達アウトカムとQOLの包括的分析。
アブストラクト
目的:日本人の胆道閉鎖症(BA)患者の神経発達の転帰と生活の質(QOL)を総合的に評価し、転帰に関連する因子を検討する。
方法:本研究では、2021年に大阪大学医学部附属病院を受診した5~18歳の胆道閉鎖症患者を対象とした。知的能力、認知機能、適応能力レベルを評価するために神経発達評価を行った。さらに、情緒的・行動的問題、注意欠陥多動性障害の特徴、QOLを同じコホートで同時に評価した。その結果に関連する生化学的および社会的要因が検討された。
結果:53例(年齢中央値11.2歳)が解析に組み入れられた。BA患者では、FSIQ/DQスコアおよびVABS(Vineland Adaptive Behavior Scale)総合スコアが一般の日本人集団より有意に低かった。世帯教育レベルおよび低身長は、それぞれFSIQ/DQおよびVABS複合スコアの低値および境界値と関連していた。FSIQ/DQスコアが低い患者と境界域にある患者のうち、VABS複合スコアが平均または高い患者は、VABS複合スコアが低い患者と境界域にある患者に比べて、神経教育的ケアを受ける回数が有意に少なかった。FSIQ/DQおよびVABS複合得点が低いにもかかわらず、QOLの総得点は一般集団よりも高かった。
結論:BA患者は知的障害と行動障害を有していた。特に、適応能力が維持されている場合、知的障害のある患者は見落とされ、フォローアップされない。