2016年から2018年にかけてのマレーシアにおけるインフルエンザの動向と費用に関する横断的研究。
DOI:10.1371/journal.pone.0301068
アブストラクト
背景と目的:マレーシアではインフルエンザは1年中流行しているが、その発生率に関する研究データは少ない。しかし、この情報は、エビデンスに基づいた政策によって公衆衛生を改善するために不可欠である。この横断研究では、インフルエンザの動向と経済的コストを明らかにすることを目的とした。
方法:2016年から2018年までのデータを複数の情報源から後方視的に収集した。それらは、マレーシアのクランバレーにある既存の保健省(MOH)のインフルエンザセンチネルサイトデータ、2つの教育病院、2つの民間医療機関であった。実験室で確認されたインフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器感染症(SARI)に対する負担の最終推定値は、専門家のコンセンサスにより決定された。経済的負担は、MOHのcasemix costingによって補足された二次データを用いて個別に推定した。
結果:ILI 11,652例、SARI 5,764例のデータが抽出された。2016年はインフルエンザB亜型が優勢であったが、2017年と2018年はインフルエンザAがより優勢であった。分布時系列から、3年とも3月と4月に最も高い頻度で患者が発生していることが明らかになった。インフルエンザにかかった費用は、3年間の全期間で3億1,090万MYRに上った。
結論:本研究は、マレーシアにおけるインフルエンザのダイナミックな状況について貴重な知見を提供した。調査結果は、2017年の顕著なインフルエンザAの流行や、3年間の3月におけるインフルエンザBの一貫した急増など、季節的なピークは不定期であるが、インフルエンザが年間を通じて一貫して存在することを明らかにした。これらの知見は、情報に基づく医療戦略のためにインフルエンザの亜型を継続的にモニタリングすることの重要性を強調するとともに、マレーシアの国家予防接種プログラムにインフルエンザワクチン接種を統合し、全体的なパンデミックへの備えを強化することを提唱している。