スペインにおける妊婦への百日咳ワクチン接種導入後の乳児の百日咳重症度低下(2015~2019年)。
アブストラクト
背景:スペインでは2015年に妊娠第3期における母親の百日咳ワクチン接種が実施され、2019年には全国カバー率が84%に達した。この生態学的研究では、出生前の百日咳ワクチン接種導入に伴い、乳児の百日咳の重症度に変化があるかどうかを調査した。
方法:スペインにおける2005~2019年の乳児百日咳入院について、全国登録データを用いて時系列分析を行った。生後3ヵ月未満の乳児(出生前ワクチン接種の恩恵を受ける対象群)と生後3~11ヵ月の参照群について、人口10万人当たりの年間入院率と平均入院期間を算出した。ワクチン接種導入前(2005~2014年)と導入後(2015~2019年)の期間について、両群の上記変数の全体率と年間変化率を区分ポアソン回帰を用いて比較した。
結果:ワクチン接種前の期間において、生後0~2ヵ月の乳児の百日咳入院率は基準群の5倍高く、入院期間も平均50%長かった。母親によるワクチン接種導入後、0~2ヵ月の乳児の入院率は3~11ヵ月の乳児よりも急速に減少した:入院率はそれぞれ年間34%(95%信頼区間:31~38)対26%(95%信頼区間:21~31)、平均入院期間はそれぞれ13%(95%信頼区間:11~15)対6%(95%信頼区間:2~9)であった。2019年、百日咳の平均入院期間は両群とも約4.5日であった。
結論:スペインにおける妊産婦への百日咳ワクチン接種は、年長児と比較して対象群の重症度軽減につながったことから、妊産婦へのワクチン接種の重要性に関する医療従事者への啓蒙活動強化の必要性が浮き彫りになった。