ケニアの2地区の妊産婦におけるCOVID-19ワクチンの受容から得られた教訓を、将来の妊産婦用RSVワクチンの需要創出努力に役立てる。
アブストラクト
背景:呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、世界的に急性下気道感染症の主な原因であり、RSVに関連した死亡のほとんどは生後6ヵ月未満の乳児である。RSVの負担が最も大きいのは低・中所得国で、サハラ以南のアフリカでは、1歳未満の乳児の重症または超重症肺炎による入院のほぼ半分がRSVによるものと考えられている。母親用RSVワクチンも開発されようとしている。本研究の目的は、ケニアにおける妊娠中および授乳中の人々を対象としたCOVID-19ワクチン接種経験から得られた教訓が、将来の妊産婦RSVワクチン接種にどのように役立つかを理解することである。
方法:この質的研究では、医師、看護師、助産師、地域医療従事者、ワクチン接種者を含む16人の医療従事者にインタビューを行った。参加者はケニアの2つの郡から募集され、多様なコミュニティを担当する医療従事者が含まれた。データの分析にはグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。
結果:インタビューに応じた医療従事者は、ケニアにおける妊婦へのCOVID-19ワクチン普及に貢献したことから、COVID-19ワクチンの経験から得た教訓を今後の妊産婦へのRSVワクチン普及に役立てることができた。コミュニケーション、動員、教育を含む最も重要な教訓として、コミュニティの感化が浮かび上がった。RSVに対する地域社会の認識、RSVワクチンの有害性と有益性に関する地域社会の認識、RSVワクチンに関する最新で明確な情報の提供などが、教訓として挙げられた。動員に関しては、参加者は医療従事者と地域社会のリーダーが地域社会の信頼を得る必要性と、ワクチンを日常化することの重要性を指摘した。最後に、教育に関して、参加者は、ワクチンの安全性に関する懸念、予防期間、ワクチンの投与量など、妊産婦用RSVワクチンに関して患者が抱くであろう重要な疑問について概説した。
結論:これは、妊娠中および授乳中の女性を対象としたCOVID-19ワクチンの展開から得られた教訓が、RSV母体ワクチンを含む将来の母体ワクチンの展開にどのように役立つかを検討した最初の研究の一つである。医療従事者はワクチン展開に直接関与するため、彼らの視点はワクチン受容を成功させるために極めて重要である。