アトピー性皮膚炎と子供の行動障害との関連。
アブストラクト
背景と目的アトピー性皮膚炎(AD)が行動障害(BD)と関連するという証拠が増えてきている。現在のところ、疾患の重症度がどのようにBDsを決定するのか、またどのような追加要因がBDsの発現に寄与するのかについての証拠は不足している。本研究の目的は、健常児と比較してAD患児にどのようなBDsがみられるかを明らかにし、AD患児におけるBDsの発現にどのような追加的要因が寄与しているかを明らかにすることである。材料と方法これは、2020年1月1日から2022年12月31日の間に、AD患者と健常対照(6~17歳)の小児を対象に、行動困難のリスク評価尺度(Child Behavior Checklist, CBCL 6/18)を適用した横断的前向き研究である。統計学的比較には、有意水準5%を考慮し、主にWilcoxon-Mann-WhitneyおよびStudent's t-testを用いた。結果本研究には合計101名の小児が参加した:48%がAD、52%が非ADであった。平均年齢はADで10±2.7歳、対照群で10.5±3.1歳であった。AD患者は、内的行動尺度得点およびTスコア(6.6±6.4 vs. 9.6±6.9、47.9±9.5 vs. 52.3±10.2、p = 0.01)、不安/抑うつ尺度得点およびTスコア(2.8±2.7対4.3±3.5および47.7±8.4対52.5±11、p = 0.02)、身体的問題尺度スコアおよびTスコア(2.1±2.3対3.5±3および47.6±8.5対52.7±10.9、p = 0.005)であった。重症AD患者では、睡眠障害とかゆみのスコアが軽度・中等度AD患者よりも高かった(5.4±2.6 vs. 2.4±2.2, p = 0.000および6.6±2.4 vs. 4±2.8, p = 0.001)。朝の平均血清コルチゾール濃度は、対照群と比較してAD患者で低かった(252.91±304.34 vs. 351.55±126.09nmol/L、p = 0.047)。結論ADの小児は健常対照者に比べてBDのリスクが高い。重症AD患者では、軽度・中等度ADと比較して睡眠障害が多く、かゆみの程度も強い。BDsの発症と血清コルチゾール値は関連していなかった。コルチゾール値、重症度、年齢、性別、罹病期間、そう痒症の強さ、睡眠障害は、BDsの発症には影響しなかった。