子どもの喘息はまだ増えているのか?スウェーデン北部における20年間の有病率の傾向。
アブストラクト
背景:本研究では、1996年、2006年、2017年にスウェーデンのノルボッテンに住む8歳児を対象に、喘息の有病率の推移を明らかにし、喘息症状、喘息治療薬の使用、喘息重症度との関連を調査した。
方法:Obstructive Lung Disease in Northern Sweden(OLIN)研究の中で、1996年、2006年、2017年にそれぞれ3つの小児コホートを募集した。3つの市町村の小学1年生と2年生(中央値8歳)の全児童を保護者アンケート調査に招待し、1996年にはn=3430(参加率97%)、2006年にはn=2585(同96%)、2017年にはn=2785(同91%)が回答した。アンケートには、呼吸器症状や喘息の診断、治療、重症度に関する質問が含まれていた。
結果:喘鳴の有病率は、1996年10.1%、2006年10.8%、2017年10.3%、p=0.621と研究期間中安定していたが、医師診断による喘息は増加した:5.7%、7.4%、12.2%、p<0.001。過去12ヵ月間の喘息治療薬の使用は増加した:7.1%、8.7%、11.5%、p<0.001。喘息と診断された小児において、喘息症状、日常生活への影響、重症喘息の有病率は減少し、吸入コルチコステロイドの使用は1996年から2017年まで増加した。
結論:1996年から2017年まで、この地域の8歳児における喘鳴有病率は安定していたが、医師診断による喘息有病率は倍増したが、喘息罹患率は増加しなかった。喘息の罹患率が増加することなく医師診断喘息が増加したことは、軽症喘息患者の診断がより多く、より早期に行われたことで一部説明できる。