世界のワクチン接種率と小児期生存率の推定値:1990-2019.
アブストラクト
目的:1990年から2019年までの204の国と地域における、子どもの死亡率低下と定期予防接種との関連を定量化する。
方法:世界疾病負担調査(Global Burden of Disease Study)の子どもの死亡率とワクチン接種率のデータを用いた。修正小児生存率の枠組みを用い、混合効果回帰モデルを適用して、8種類のワクチンによる5歳未満児の死亡の減少を推定した。
結果:1990年から2019年の間に、ジフテリア・破傷風・百日咳(DTP)ワクチン、麻疹ワクチン、ロタウイルスワクチン、b型ワクチンは、推定86.9百万人(95%信頼区間、CI:57.2~132.4百万人)の世界の5歳未満児の死亡減少と有意に関連していた。この減少は、ワクチンを接種しないシナリオと比較して24.2%(95%信頼区間:19.8~28.9)の死亡の減少に相当する。DTPワクチンと麻疹ワクチンは、それぞれ4,670万人(95%信頼区間:3,070~7,270万人)と3,790万人(95%信頼区間:2,540~5,680万人)の死亡を回避した。ワクチンに関連した子どもの死亡率減少のうち、84.2%(95%CI:83.0~85.1)はワクチン同盟Gaviが支援する73カ国で発生し、2000年から2019年までに推定45.4百万人(95%CI:29.8~69.2百万人)の死亡が減少した。これら4つのワクチンに関連して死亡が最も減少したのは、インド、中国、エチオピア、パキスタン、バングラデシュであった(減少幅の大きい順)。
結論:ワクチンは、特にGavi支援国において、小児死亡率を有意に減少させ続けており、定期予防接種プログラムへの投資拡大の必要性を強調している。