小児における一般的な季節性病原体とヘノッホ-シェーンライン紫斑病の疫学。
アブストラクト
重要性:ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)は小児に最もよくみられる血管炎である。本疾患の引き金となる因子はよくわかっていない。いくつかのウイルスや季節性細菌感染がHSPと関連しているが、季節的パターンが重複しているため、これらの病原体のHSP発症との特異的関連を鑑別することは依然として困難である。
目的:HSPの疫学における季節性病原体の役割を解析する。
デザイン、設定、参加者:このコホート研究は、包括的な全国病院ベースのサーベイランスシステムから得られた患者記録の中断された時系列分析から構成された。2015年1月1日から2023年3月31日までにフランスでHSPにより入院した18歳未満の小児を対象とした。
曝露:COVID-19パンデミックに対する、社会的距離の取り方やマスク着用などの非薬物的介入(NPI)の実施と緩和。
主なアウトカムと測定法:主なアウトカムは、準ポアソン回帰モデルを用いて分析した小児10万人当たりのHSPの月間発症率と、同期間における季節性病原体14種に関連する可能性のあるHSP発症率の推定値である。
結果:9790人のHSP患児(年齢中央値、5歳[IQR、4-8歳]、男児5538人[56.4%])と757 110人の感染症患児(年齢中央値、0.7歳[IQR、0.2-2歳]、男児393 697人[52.0%])を対象とした。HSPの発症率は、2020年3月のNPI実施後に有意に減少し(-53.6%;95%CI、-66.6%~-40.6%;P<0.001)、2021年4月のNPI緩和後に有意に増加した(37.2%;95%CI、28.0%~46.3%;P<0.001)。肺炎球菌に関連する可能性のあるHSP発症の割合は37.3%(95%CI、22.3%-52.3%;P<0.001)、化膿レンサ球菌に関連する症例の割合は25.6%(95%CI、16.7%-34.4%;P<0.001)、ヒトライノエンテロウイルスに関連する症例の割合は17.1%(95%CI、3.8%-30.4%;P=0.01)であった。3つの感度分析でも同様の結果が得られた。
結論と関連性:本研究により、COVID-19パンデミックに対するNPI後、循環病原体の大きな変化と同時にHSPの発生率が大きく変化したことから、HSP発生率の約60%が肺炎球菌とA群連鎖球菌に関連する可能性があることが示された。この所見は、これらの病原体に対する予防対策が小児のHSP発症率を低下させる可能性を示唆している。