実データを用いた中耳炎疫学の多施設評価。
アブストラクト
目的:2009年1月から2021年5月までの実世界の電子カルテ(PEDSnet)のデータを用いて、小児中耳炎(OM)の発生率と危険因子を明らかにする。
研究デザイン:レトロスペクティブコホート研究。
設定:PEDSnetに参加している7つの小児科学術医療システム。
方法:外来、救急外来、入院の初診時に生後6ヵ月未満であった小児を対象とし、縦断的に追跡した。Cox比例ハザードモデルを用いて時間-事象解析を行い、社会人口統計学的因子と特定の健康状態に基づくOM発症のハザード比を推定した。
結果:PEDSnetコホートには910,265人の小児が含まれ、54.3%が男性、平均年齢(月齢)1.3[標準偏差(SD)1.6]、平均追跡期間(年)4.3(SD 3.2)であった。3歳までに39.6%の小児がOMを1回経験していた。OM発生率は、肺炎球菌13(PCV-13)ワクチン接種とCOVID-19パンデミック後に減少した。若年齢、非ヒスパニック系黒人/アフリカ系アメリカ人またはヒスパニック系人種/民族、公的保険、高世帯収入、および男性では、OM発症率が高かった。OMリスクを増加させた健康状態は、口蓋裂[調整ハザード比(aHR)4.0[95%信頼区間(CI)3.9-4.2]、原発性毛様体ジスキネジア[aHR2.5(95% CI 1.8-3.5)]、トリソミー21[aHR 2.0(95% CI 1.9-2.1)]、アトピー性皮膚炎[aHR 1.4(95% CI 1.4-1.4)]、胃食道逆流[aHR1.5(95% CI 1.5-1.5)]であった。
結論:1歳までに約20%、3歳までに約40%の小児がOMを経験している。OMの発生率はPCV-13とCOVID-19の後に減少した。毛様体機能異常や頭蓋顔面疾患、特に口蓋裂のある小児は、OMのリスクが最も高い。