ABCDサンプルから非言語性学習障害(NVLD)の有病率を推定。
アブストラクト
非言語性学習障害(NVLD)は、視空間情報の処理に障害があるが、年齢相応の言語能力はあることを特徴とする神経発達障害である。この認知プロファイルは、非典型的な白質と関連しているという仮説が立てられているが、現在のところ、この仮説に対する証拠は不足している。現在のところ、この疾患を特徴づけるための明確な基準が存在しないこともあり、主な診断体系の中でこの疾患の特徴は明らかにされていない。本報告は、心理的、神経学的、身体的、社会的な問題とは無関係に抽出された11,000人以上の小児の大規模サンプルにおいて、2つの診断基準を用いてNVLDの有病率を推定した初めての試みである。さらに、NVLDに関連する症状の有無にかかわらず、認知能力のプロファイルと全脳白質の測定値との関連を検討した。参加者は、米国の11,876人の小児を対象とした10年間の縦断研究であるAdolescent Brain Cognitive Development(ABCD)研究から抽出された。2つの異なる基準セットに基づくNVLDの有病率、基準作成に使用された測定値間の相関、基準測定値と白質完全性の測定値間の相関。認知的基準には、視空間処理、読解、知能、社会的スキルの測定が含まれた。社会的技能に適用するカットオフ値を、視空間処理能力、読解能力、知能のスコアと合わせて変化させることにより、2つのNVLD群の有病率を算出した。白質特性は、体積、分画異方性、平均拡散率を測定した。使用した基準によると、NVLDの推定有病率は1~8%であった。さらに、NVLDの小児では、非NVLDの小児では観察されなかった視覚-空間処理の測定値間の解離が認められた。神経学的レベルでは、NVLDの認知プロファイルと白質路の異常との関連を示す予備的証拠が得られた。本研究は、この大規模な非選抜標本の中に、NVLDの証拠を示す青少年の割合が存在することを証明するものである。これらの結果を踏まえると、この障害を持つ子供たちの治療の選択肢と生活の質を向上させるために、最善の診断基準を確立することが不可欠であると思われる。