抑制的制御は子供の肥満度と算数の成績の関連を媒介する:横断的研究。
アブストラクト
背景:過体重と肥満は、世界の子供と青年の18%以上に影響を及ぼしている。肥満に関連した脳形態との関連は、抑制性制御の効率低下と関連している可能性がある。この関連は、肥満が知能や学業成績に影響を及ぼす可能性のあるメカニズムを浮き彫りにしている。先行研究では、肥満度(BMI)と知能および学業成績の関係には、抑制性制御の仲介作用があることが示されている。しかし、肥満は数学の成績低下と関連しているが、抑制性制御もBMIと数学の成績の関係を媒介するかどうかはわかっていない。本研究では、抑制性制御がBMIと数学の成績の関係を統計的に媒介するという仮説を検証する。
方法:本研究には161名の児童(9~13歳、女性80名)が参加した。BMI、x=(a×b)-cの20の算数方程式で構成されるテストにおける算数の成績、およびFlankerテストによる抑制性制御を評価した。スピアマン相関検定、階層的重回帰を行い、抑制的制御がBMIと数学の成績との間接的関連を統計的に媒介するというモデルの信頼性を検証した。この横断的研究における媒介分析は、間接的関係の理解を深め、起こりうる因果関係について洞察を提供することを目的としている。
結果:算数の成績が良いこととBMIが低いことは抑制性コントロールテストの精度が高いことと関連し、抑制性コントロールテストの精度が高いことは算数の成績が良いことと関連した。BMIが高いほど算数の成績が低下するという間接的な関連性が認められたが、それは抑制性制御によって媒介された(a: -0.008, p = 0.025; b: 7.10, p = 0.0004; c:0.05, p = 0.592; c':0.11, p = 0.238; 間接効果:-0.0599, 95% CI: -0.13, -0.005)。
結論:BMIが抑制制御に与える影響を通して、子どもの肥満度の高さと算数の成績低下との間に間接的な関連が検出された。