フィンランドにおけるエピネフリン自動注射器不足の検出2016-2022:オンライン情報探索のログデータ分析。
アブストラクト
はじめに: 医薬品不足は世界的な問題であり、大人も子供も命にかかわる事態を引き起こしている。エピネフリン自動注射器はアナフィラキシーと呼ばれる重篤なアレルギー反応に使用されるが、代替の自動注射器が薬局で入手できるとは限らない。フィンランドでは、医療従事者が医療情報を求める場合、専用のインターネット情報源であるPhysician's Database (PD)を利用し、Health Library (HL)は市民向けに健康情報を提供している(S1データ)。目的は、(1)専門家によるエピネフリン自動注射器の検索と、(2)市民によるアナフィラキシー論文の閲覧が、フィンランドにおけるエピネフリン不足と関連しているかどうかを評価することであった。
方法:エピネフリン自動注射器(エピペン®、ジェクスト®、エメラード®)に関するPDの月次ログデータと、アナフィラキシー論文の開封に関するHLの月次ログデータを2016年から2022年の間に収集した。専門家による7種類の自動注射器の検索と市民による4種類のアナフィラキシー論文の開封を、フィンランド医薬品庁が報告したエピネフリン不足に関する情報と比較した。社会保険機関から提供された専門家の自動注射器処方についても評価した。
結果:エピペン®(N=111,740)、ジェクスト®(N=25,631)、エメラード®(N=18,329)の検索総数は2016~2022年に分析可能であった。エピペン®のみは夏期に季節的なパターンを視覚的に示すことができ、世界的にエピペン®の大規模な不足が現れた2018年夏に勢いよくピークに達した。アナフィラキシーの記事は、全体で2,030,855件の開封に相当した。アナフィラキシーの1つの記事(「咬傷と刺傷」)の開設は夏の時期にピークを迎えたが、別の記事(「アナフィラキシー反応」)のピークはCOVID-19の予防接種が始まった2020年末に1度だけ(3倍増)あり、自動注射器の処方は最も少なかった。エピペン®50本、ジェクスト®1本、エメラード®12本の欠品が報告された。自動注射器処方のピークは夏場にほぼ2倍に増加した。
結論:本研究は、(1)エピネフリン不足は専門家による自動注射器の検索と関連していること、(2)市民によるアナフィラキシーに関する情報収集は、夏期および処方数の少ない不足と関連していることを示した。したがって、専門家や市民を対象としたインターネット上の専用データベースは、アナフィラキシー反応や自動注射器不足を検出するための追加的な情報源として利用できる可能性がある。