イタリアの小児プライマリケアにおけるCOVID-19パンデミック前のRSV疫学と臨床的負担:2019/2020シーズンに関する2地域間の比較分析。
アブストラクト
背景:5歳未満の小児における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染は、プライマリケアにおいても大きな臨床的負担となっている。本研究では、2019/20年のプレパンデミック冬季シーズンにおけるイタリアの小児におけるRSVの疫学と負担を調査する。
方法:イタリアの2地域で前向きコホート研究を実施した。小児科を受診した急性呼吸器感染症(ARI)の小児を対象とした。鼻咽頭ぬぐい液を採取し、マルチプレックスPCR法でRSV検出のための分析を行った。14日後の追跡調査票により、医療利用や罹病期間を含む疾患負担を評価した。回帰モデルを含む統計解析により、RSV亜型や地域差などの変数間の関連を検討した。
結果:ARIを発症した小児293人のうち、41%(119人)がRSV陽性であった。RSV陽性例の罹病期間中央値は7日で、6%が入院を必要とした(入院期間中央値:7日)。RSV症例の95%(110/116例)に薬が処方され、31%(34/116例)に抗生物質が投与された。RSVサブタイプBと地域因子は、医療利用の増加を予測した。息切れのある小児は罹病期間が36%長かった。
結論:本研究は、パンデミック前のイタリアのプライマリケア環境におけるRSVに関連する重大な臨床的負担と医療利用を明らかにした。RSVの亜型や症状を含む予測因子が同定されたことから、的を絞った介入や資源配分戦略の必要性が示された。RSVの疫学は、予防対策を実施するための公衆衛生戦略の指針となる。