2008~2020年の米国救急部における小児処方オピオイド過剰摂取の傾向:小児オピオイド過剰摂取による救急外来受診の疫学的研究。
アブストラクト
背景:米国ではオピオイド過剰摂取が公衆衛生上の緊急事態として宣言されたが、その多くは成人に焦点が当てられている。小児や思春期の子どもが未使用の処方オピオイド薬に曝露し、入手することは大きな懸念である。米国における小児(0~17歳)の処方オピオイド過剰摂取による救急外来(ED)受診の傾向、特にCOVID-19流行年における傾向について、さらなる研究が必要である。
方法:このレトロスペクティブ疫学研究では、2008~2020年のNationwide Emergency Department Sampleを用いて、処方薬オピオイド過剰摂取に関連する救急外来受診の全国的な推定を行った。組み入れ基準は、処方オピオイド過剰摂取により救急外来を受診した0~17歳の患者であった。医療記録に処方薬オピオイド過剰摂取の管理請求コードが含まれていれば、適格な受診が確認された。全国推計値は、年齢層、性別、地理的地域、主要支払者、郵便番号別世帯所得中央値、EDの体質、病院の所在地/教育状況別に分類された。米国の小児10万人当たりの罹患率を年齢層、性別、地域別に算出した。
結果:全体として、米国における0~17歳の患者に対する処方オピオイド過剰摂取によるED受診は、2008年から2019年にかけて22%減少し、2020年には12%増加した。ほとんどの患者はED受診後に自宅へ退院したが、2019年から2020年にかけて入院患者は42%増加した。米国の小児10万人当たりの処方オピオイド過剰摂取率は、0~1歳と12~17歳が最も高く、12~17歳は2020年に27%増加した。西部と中西部のED受診では、2019年から2020年にかけて処方オピオイドによる受診がそれぞれ58%と20%増加した。
結論:米国の小児および青年における処方オピオイド過剰摂取によるED受診は、2019年までの過去10年間で減少した。しかし、2019年から2020年にかけてED受診が大幅に増加したことから、当時発生しつつあったCOVID-19パンデミックによる影響の可能性が示唆された。この知見は、米国における処方オピオイド過剰摂取をさらに減らすために、幼い子供と青年に焦点を当てることを示唆している。