エチオピア北西部、ゴンダール大学総合専門病院で出産した女性における有害な出生転帰。
アブストラクト
背景:エチオピアでは、新生児や乳児の罹患率や死亡率の高さを抑制するために、包括的産科医療や基礎産科医療を含む様々な母子保健介入が行われてきた。そのため、有害な出生転帰は同国の公衆衛生上の懸念となっている。そこで本研究では、エチオピア北西部のゴンダール大学総合専門病院で出産した女性における有害な出生転帰の負担と関連因子を評価することを目的とした。
方法:2021年3月30日から5月1日まで、ゴンダール大学総合専門病院で医療施設ベースの横断研究を行った。合計455人の女性に構造化質問票を用いて面接を行った。バイナリー・ロジスティック回帰モデルを当てはめ、調整オッズ比(AOR)と95%CI、p値<0.05を用い、有害な出産転帰と有意に関連する因子を宣言した。
結果:本研究では、28%の女性に有害な出生転帰(死産8.4%、早産22.9%、低出生体重児10.11%)がみられた。20~34歳の女性(AOR:0.32、95%CI:0.14、0.76)、農村居住者(AOR:2.7、95%CI:1.06、6.32)、ANC受診不足(AOR:4.10、95%CI:1.55、10.85)、APH(AOR:3.0、95%CI:1.27、7.10)、発熱(AOR:7.80、95%CI:3.57、17.02)は死産と関連していた。多胎妊娠(AOR:7.30、95%CI:1.75、20.47)、農村居住者(AOR:4.60、95%CI:1.36、15.52)、早産(AOR:8.60、95%CI:3.88、19.23)、以前の周産期死亡(AOR:2.90、95%CI:1.35、6.24)、発熱(AOR:2.7、95%CI:1.17 ,6.23)、膜早期破裂(AOR:2.60、95%CI:1.02、6.57)が低出生体重児に影響していた。さらに、分娩前出血(AOR:2.40、95%CI:1.37、4.10)、発熱(AOR:3.8、95%CI:2.13、6.89)も早産の要因であった。
結論:有害な出生転帰は、公衆衛生上の重大な懸念であり続けている。早産、低出生体重児、先天性欠損症などの出生時の有害な転帰が高率にみられることは、乳児とその家族、そして地域社会全体の健康と福祉に深刻で長期にわたる影響を及ぼす可能性がある。そのため、不利な出生転帰に関連する危険因子に対処し緩和するためには、公衆衛生の取り組みが極めて重要である。これには、妊産婦の健康、出産前ケアや栄養サポートへのアクセス、環境リスクへの曝露を減らすための介入や政策の実施が含まれる。