WHO分娩内ケアモデルの実施が妊産婦と新生児の転帰に及ぼす影響:無作為化対照試験。
アブストラクト
背景:2018年、世界保健機関(WHO)は、出産経験を改善するため、分娩内ケアの質をさらに重視するよう勧告を発表した。本研究では、WHOの分娩内ケアモデルが、出産経験、出産への恐怖、分娩内ケアの質(主要アウトカム)、ならびに産後4~6週における心的外傷後ストレス障害症状、産後うつ病、分娩期の期間、経腟分娩の頻度、アプガースコア7未満、その後の出産願望、排他的母乳育児(副次アウトカム)に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
方法:本研究は、イランのタブリーズにあるアル・ザハラ病院とタレガニ病院の産科に入院した妊婦108人を対象とした無作為化比較試験である。参加者は、ブロック無作為化法を用いて、'分娩内ケアモデル'に従ってケアを受ける介入群と、'病院のルーチンケア'を受ける対照群のいずれかに割り付けられた。妊娠中の各参加者についてパルトグラフ図を作成した。分娩恐怖尺度は、活動期開始前(介入前)と7~8cm拡張期(介入後)の両方に参加者全員が記入した。両群の参加者は、出産後4~6週間フォローアップされ、出産経験、産後うつ病、心的外傷後ストレス障害症状に関する質問票、妊娠・出産に関する質問票、また子どもを持ちたいという願望と母乳育児に関するチェックリストに記入するよう求められた。データは、独立T検定とマン・ホイットニーのU検定、およびパリティ変数とベースライン得点または出産恐怖症で調整した共分散ANCOVA分析を用いて分析した。
結果:出産経験合計の平均得点は介入群で顕著に高かった(調整平均差(AMD)(95%信頼区間(CI)):7.0(0.6~0.8)、p<0.001)。同様に、分娩内ケアの質スコアは介入群で有意な増加を示した(AMD(95%CI):7.0(4.0~10)、p<0.001)。さらに、介入後の出産恐怖スコアは、介入群で大幅な減少を示した(AMD(95%CI):-16.0(-22.0~-10.0)、p<0.001)。抑うつ、PTSD症状、分娩期の期間、経腟分娩の頻度、アプガースコア7未満、産後4~6週間の母乳育児の平均スコアについては、両群間に統計学的有意差は認められなかった(p>0.05)。
結論:世界保健機関(WHO)が推奨する分娩内ケアモデルは、出産経験を向上させ、産科ケアの質に対する母親の満足度を高める上で有効であることが実証された。さらに、分娩と出産に伴う恐怖の軽減にも寄与する。今後の研究努力では、臨床的な対策と並行して、陣痛・分娩時の尊重された質の高いケアを優先し、統合する戦略を探るべきである。