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2022年から2023年にかけてパキスタンのイスラマバードで流行したヒト呼吸器合胞体ウイルスのゲノム解析。
アブストラクト
2022年12月から2023年1月にかけてヒト呼吸器合胞体ウイルス(hRSV)が流行したイスラマバードにある国立衛生研究所で行われた本研究では、パキスタンのイスラマバードで分離されたhRSVの全ゲノム配列が初めて決定された。陽性10検体のうち5検体の塩基配列が決定され、2つの遺伝子型が存在することが明らかになった:RSV-A(GA2.3.5、ON1株)とRSV-B(GB5.0.5.a、BA-10株)である。RSV-Aでは、G蛋白質にまれな非同義置換(E232G)、F蛋白質にN276Sが認められた。RSV-Bでは、F蛋白質にK191R、Q209R、I206Mというユニークな変異が見つかった。これらの変異は、ワクチン効果やウイルスの病原性に影響を与える可能性がある。本研究は、RSVの多様性を理解し、パキスタンにおける公衆衛生対応を導くためのゲノムサーベイランスの重要性を強調するものである。