COVID-19パンデミックがうつ病患者のうつ病罹患率および医療サービス利用に及ぼす影響:9年間の集団ベースの調査による中断時系列分析。
アブストラクト
背景:COVID-19パンデミックのうつ病負担への影響に関する研究の多くは、ロックダウンに特化したパンデミックの初期段階に焦点を当てたものであったが、パンデミックの長期的影響についてはあまり研究されていない。この集団ベースのコホート研究では、うつ病患者のうつ病罹患率と医療サービス利用に対するCOVID-19の短期的および長期的影響を検討した。
方法:香港の全領域の電子医療記録を用いて、2014年から2022年にかけて新たにうつ病と診断された10歳以上の全患者を同定した。中断時系列(ITS)分析を行い、パンデミック前とパンデミック中の医療的介入を受けたうつ病の発生率の変化を調べた。その後、うつ病発症年に基づいて全患者を9つのコホートに分け、2022年末までの初期および継続的なサービス利用パターンを調査した。一般化線形モデルを適用し、パンデミック前とパンデミック中に新たに診断された患者の診断年の医療サービス利用率を比較した。別のITS分析では、うつ病有病者における継続的なサービス利用に対するパンデミックの影響を調査した。
結果:パンデミック開始後,集団におけるうつ病罹患率の即時増加(RR=1.21,95%CI:1.10-1.33,p<0.001)が認められたが,有意な傾きの変化はなく,2022年末まで持続的な影響が示唆された。サブグループ解析によると、罹患率の増加は成人および高齢者では有意であったが、青年では有意ではなかった。パンデミック中に新たにうつ病と診断された患者は、最初の診断年にパンデミック前の患者よりも11%少ないリソースを使用した。既往のうつ病患者も、パンデミック以降、全原因サービス利用が直ちに16%減少し、3年間で徐々に回復することを示す正の勾配変化がみられた。
結論:COVID-19のパンデミック期間中、うつ病の罹患率の増加によって生じる需要の増加に直面して、うつ病に対するサービス提供は最適ではなかった。この知見は、将来の公衆衛生危機に対する精神保健資源計画の準備態勢を改善する必要性を示している。