小児の呼吸器合胞体ウイルス感染症の重症度とフィブリノゲン-アルブミン比および好中球-リンパ球比の関連性。
アブストラクト
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は呼吸器感染症の一般的な原因である。入院を必要とする乳幼児の下気道感染症の半数以上の原因となっている。本研究の目的は、フィブリノゲン-アルブミン比(FAR)とRSV感染症の重症度との相関を調べ、好中球-リンパ球比(NLR)との有効性を比較することである。本研究は、当院の小児科クリニックに入院した生後29日から2歳までの患者を対象とした後ろ向きコホート研究である。患者は第1群(軽症)、第2群(中等症)、第3群(重症)、第4群(対照)の4群に分けられた。全群でFARとNLRを測定した。FARは第3群で他の群より有意に高く、第2群は第1群および第4群より、第1群は第4群より高かった(いずれもp<0.001)。NLRは4群で他の群より有意に高く、3群で1群および2群より有意に高かった(いずれもp<0.001)。FARの合計は、気管支炎患者で0.078±0.013、気管支肺炎患者で0.099±0.028、肺葉性肺炎患者で0.126±0.036であり、いずれも統計学的に有意差があった(p<0.001)。NLRは統計学的に有意差を示さなかった。この研究では、非侵襲的支持を受けた群と比較して、侵襲的支持を受けた群ではFARが統計学的に有意に増加した(0.189±0.046対0.112±0.030;p=0.003)。機械的換気群ではNLRに差はみられなかった。重症RSV陽性患者の同定にはFARが用いられ、感度は84.4%、特異度は82.2%、カットオフ値は0.068以上であった。本研究では、NLRのカットオフ値を1.49以下とし、感度62.2%、特異度62.2%で重症RSV陽性患者を同定した。また、FARと入院期間、治療期間、臨床的改善までの期間との間に統計学的に有意な関連が認められた(いずれもp<0.001)。NLRと入院期間および治療期間との関連は弱かった(p<0.001)。RSV感染症の小児において、FARは重症度、予後、入院、治療、臨床的改善の平均期間を決定するのに有用であった。さらに、FARはNLRよりも効率的に重症度を予測した。