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急速に浸潤する先天性頭蓋血管腫のまれな症例:症例報告。
アブストラクト
背景 胎児頭蓋の急速退縮性先天性血管腫(RICH)は極めてまれな血管疾患であり、子宮内でのみ増殖が起こり、出生時に最大となる大きさで進行する。RICHは出生前の画像診断で発見できるが、誤診されやすい。症例報告 28歳の経産婦が、妊娠38週で定期的な産科超音波スクリーニングのため紹介された。超音波検査の結果、未検出の頭部腫瘍(32×22mm)を有する女性胎児が発見された。病変は房状で、前頭骨に隣接して広い底部を有していた。腫瘍の成長は、外側(すなわち頭蓋骨方向)ではなく脳実質方向に向かっているように見えたことから、腫瘤は頭蓋骨に由来する可能性が示唆された。この腫瘤は、その小ささ、あるいは画質の悪い超音波画像における頭蓋骨の重なりのために、診断されないままであった可能性がある。超音波所見に基づき、病変は頭蓋内腫瘍と診断されたが、胎児MRI所見から胎児頭蓋のRICHが疑われた。最終的に、患者は出生後1年まで経過観察され、その時点で病変は完全に消失していた。結論 頭蓋骨に隣接する腫瘤を確実に検出するためには、出生前超音波検査を注意深く評価することが必要であり、超音波検査技師は、治療方針に影響を与えないように、疑われる腫瘤の特徴を注意深く調べて正しく診断すべきである。