乳幼児期から続く住居の不安定さは思春期の心身の不健康と関連
「Pediatrics」より
乳幼児期から住居が不安定である状態が続くと、思春期に身体的・精神的な健康が良好なものでなくなることが、「Pediatrics」に7月1日掲載された論文で明らかにされた。
ニューヨーク大学グロスマン医科大学院のKristyn A. Pierce氏らは、Future of Families and Child Wellbeing Studyのデータを用いて、住居の不安定性として設定した5つの指標のうち該当するものの数に基づき、住居の不安定性を0(安全)から5(高度の不安定性)で評価する複合尺度を作成した。5つの指標とは、1)家賃や住宅ローンの支払いの滞納、2)別の家族と住居を共有している、3)立ち退き、4)ホームレス(過去1年間に1夜以上、シェルター、車、廃屋、または居住に適さない所で過ごした経験を有する)、5)前回の調査の時点から、時期を問わず1回以上の引っ越しを経験、であった。この複合尺度を用いて、対象とした4,714人の1・3・5・9・15歳時の住居の不安定性を評価した。その上で、グループベースの軌道モデリングを用いて、住居の不安定性のパターンを分類した。そしてこれらのパターンと15歳時の心身の健康状態(自己申告による全般的な健康、抑うつおよび不安の症状)との関連について調べた。全般的健康状態は「極めて悪い」から「極めて良好」までの5段階の質問1つに回答させてロジスティック回帰モデルで、抑うつ症状はCES-D(抑うつ性自己評価尺度)に回答させて負の二項回帰モデルで、不安症状はBrief Symptom Inventory 18, Anxiety Subscaleから修正の上、採用した6つの質問に回答させてポワソン回帰モデルで、それぞれ検討した。
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- 書誌事項
Trajectories of Housing Insecurity From Infancy to Adolescence and Adolescent Health Outcomes
Pierce KA, et al. Pediatrics. Published online July 1, 2024. doi: 10.1542/peds.2023-064551