1型ゴーシェ病患者の末梢血における炎症パラメーター、脳由来神経栄養因子レベルおよびグローバルヒストンH4アセチル化状態の変調。
DOI:10.1016/j.clinbiochem.2016.11.014
アブストラクト
目的:ゴーシェ病1型(GD1)の病態生理には、脳由来神経栄養因子(BDNF)レベルと炎症系の不均衡が含まれる。しかし、この病態に関与する経路はまだ十分に解明されていない。本研究の仮説は、エピジェネティックなメカニズムがこの現象に少なくとも部分的に関与しているのではないかというものである。
デザインおよび方法:本研究では、GD1患者(n=10)の末梢血におけるBDNF調節、グローバルなヒストンH4アセチル化、炎症性・抗炎症性サイトカインレベルを、対照サンプル(CS)(n=11)と比較して調べた。
結果:GD1患者(n=10)の末梢血中キトトリオシダーゼ(CT)活性(p=0.019)とβ-グルコシダーゼ(GBA)活性(p=0.001)の有意な上昇が認められ、GD1の診断が可能であった。BDNFの減少(p=0.004)、TNF-α(p=0.017)とIL-4(p=0.035)の上昇もGD群で認められた。IL-6やIL-17aレベルには群間で有意差は認められなかった(p>0.05)。最後に、対照群ではGD1群と比較して、グローバルなヒストンH4アセチル化レベル(p=0.054)が高い傾向が観察された。
結論:これらの結果は、GD1型における炎症性サイトカインのアンバランス、BDNFレベルの低下、グローバルなヒストンH4低アセチル化状態を示唆している。これらの予備的知見は、GD1型患者の予防管理および治療において、治療法や戦略を導入する新たな道を開く可能性がある。