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SLC9A3遺伝子の変異による先天性ナトリウム下痢症。
DOI:10.1016/j.ejmg.2019.103712
アブストラクト
SLC9A3変異による先天性ナトリウム下痢症(CSD)は、腸のNa+/H+アンチポーター3の機能不全によって説明される新生児下痢のまれな原因である。これまでに10例しか報告されていない。我々は、典型的な出生前症状(多汗症と腸管拡張)と、糞便中のナトリウムと重炭酸塩の喪失を伴う新生児下痢を呈した男性患者を報告する。次世代シーケンサーにより、SLC9A3遺伝子のエクソン6にミスセンスホモ接合体変異(NM_004174.3:c.1039G > A, NP_004165.2:p.Glu347Lys)が認められた。経口電解質サプリメント(ナトリウムと重炭酸塩)により、現在20ヶ月の子供は正常な成長を遂げている。CSDの症状は通常、妊娠第3期に始まる。出生前の徴候は、多汗症とびまん性腸管拡張である。主な鑑別診断は腸閉塞と先天性塩化物下痢症である。下痢は生後数日から始まり、その重症度は様々である。今回の報告と文献によると、非症候性CSDは妊娠第3期に発見される可能性がある。適切な電解質補給により、良好な経過をたどることが可能である。