LC-MS/MSによるゴーシェ病診断のための乾燥血液スポット中のグルコシルスフィンゴシンの検出。
DOI:10.1016/j.clinbiochem.2020.10.011
アブストラクト
はじめに:ゴーシェ病(GD)はβ-グルコシダーゼ(GCase)の欠損によって引き起こされ、グルコシルセラミド(GlcC)とグルコシルスフィンゴシン(Lyso-Gb1)の蓄積をもたらす。Lyso-Gb1はGDの信頼できるバイオマーカーである。
目的:本研究の目的は、乾燥血液スポット(DBS)検体を用いて、簡便で効果的かつ正確なGDのスクリーニングおよび診断法を開発することである。
方法:同位体標識内部標準物質を含む50%アセトニトリル水溶液でDBS中のLyso-Gb1を抽出し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC-MS/MS)を用いて分析した。基準区間は、277人の健常対照者の検体を分析することによって設定された。Lyso-Gb1は、脾腫および/または血小板減少を有する高リスク患者142人の残存DBSサンプルから検出された。DBS中のGCase活性に基づき、検体は4群に分類された:確定GD患者(n = 52)、GD保因者(n = 5)、偽陽性(n = 36)および陰性(n = 49)。
結果:最適化されたLyso-Gb1測定法では、測定法内および測定法間のばらつきはそれぞれ2.0%~8.2%および3.8%~10.2%であった。精度は93.5%から112.6%であった。定量下限は1ng/mLであった。DBS中のLyso-Gb1の正常基準範囲は2.1〜9.9ng/mLであった。142名の被験者のうち、1名のGD患者(Lyso-Gb1>2500ng/mL)を除き、51名のGD患者のLyso-Gb1濃度は190.5〜2380.6ng/mL(中央値614.8ng/mL)であった。また、陰性患者1名はLyso-Gb1濃度が上昇(684.5ng/mL)していたが、他の患者は正常であった。この陰性症例は、次世代シークエンシングにより、PSAP遺伝子のc.1091A > G (p.Y364C)ホモ接合体変異を有する非定型GD患者であることが確認された。
結論:DBSにおけるLyso-Gb1の最適化された測定法は、GDのスクリーニングと診断に有用なツールであることが示された。
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